企画舎GRIT 5年目に向けて
企画舎GRITを設立してまる4年が過ぎ、2023年11月18日から第5期目に入りました。4年目を記念して今年も孫たちが創ってくれた栞をつくりました。ご希望の方、ご連絡ください。GRIT4年目の仕事は、11月16日、ソロ・ヴァイオリニスト 西川 豪(にしか
企画舎GRITを設立してまる4年が過ぎ、2023年11月18日から第5期目に入りました。4年目を記念して今年も孫たちが創ってくれた栞をつくりました。ご希望の方、ご連絡ください。GRIT4年目の仕事は、11月16日、ソロ・ヴァイオリニスト 西川 豪(にしか
太平洋戦争末期、日本人に「輸送船の墓場」「魔の海峡」と呼ばれ恐れられていた場所があった。台湾とフィリピンの間のバシー海峡がそれである。多くの日本人を乗せた輸送船、駆逐艦、海防艦がアメリカの潜水艦や航空機に撃沈され、この海峡で命を落とした日本人の数は十万人以上と言
心に残る言葉がある。励ましであれ叱責であれ独言であれ、その言葉が発せられた時の光景を伴って一言一句が甦る。放課後の教室、早朝の事務所、月明りの帰り道......。やがて言葉は心に沁み入り、こんな時ならあの人はこう言うに違いない、ああは言わないだろうなどと思うのだ
山に向かえば、限界集落。荒れ果てた田畑、初ちた家屋。町に降りれば、シャッター通り。人の往来も少なく、冷えた空気が漂う。かつて、村には祭りで賑わう人々の笑顔があり、町にはシャッターを勢いよく上げる音と、店主らの挨拶の声があった。二〇一五年を生きる私の頭の中には、そ
高知から香川の高校に進み、寮生活を送りながら卓球に打ち込む息子に会いに、この三年間妻と二人何度も試合会場や彼の高校に足を運んだ。体育館では、応援席で熱気に包まれ、自身を鼓舞する選手の雄叫びや指導者の厳しい叱咤の声を聞き、敗者の涙も幾度となく目の当たりにした。高校
電車内の光景を見よ。誰もが掌中の機器を見つめ、指先で画面に触れ、その呆けたような表情を隠そうともしない。ケータイは利便性と引き換えに多くの代償を求める。対面している相手を無視。交通事故を誘発。監視社会の助長。またいじめの道具でもある。そんな指摘を並べる著者だが、
金沢福音館書店は、旧制四高の赤煉瓦の建物がある中央公園の向かい、広坂通り沿いにあった。出版福音館の発祥の地であるその書店には、岩波・福音館を中心とした目配りの効いた児童書が揃っていた。初めて書店の店頭に立った二十代の私に、店長が言ったことは、「棚を触っていればわ
床が抜け落ちて建て直したという離れの書斎には、夥しい本が足の踏み場もないほどに積み上げられていた。書店に勤めていると、とてつもない読書家に出会うことがあるが、あの白髪の老人もその一人。無知な若僧の私に、たくさんのことを教えて下さった。「群書類従」「徳川実紀」等々、書棚
七月にキャンパスで別れた友は、十月の新学期にはもうその姿を見せなかった。夜の繁華街で「じゃあ」と去っていった親友は、その二日後の朝、自らの命を絶った。夜が山場と医師から言われていた父の容体は、夜明け前に急変し帰らぬ人となり、ひとり暮らしの母は、床に就いたまま永遠
あまり語られることのなかった葬儀業界を丹念に取材して話題となった前作『葬送の仕事師たち』の著者の最新作である。七九歳の母の急死から、その四か月後の父の逝去まで、著者自身の看と介護、そして葬儀までの日々を克明かつ詳細に追体験して成ったこのルポルタージュは、父母の死