人文・思想・社会

(書評)慟哭の海峡・門田隆将

太平洋戦争末期、日本人に「輸送船の墓場」「魔の海峡」と呼ばれ恐れられていた場所があった。台湾とフィリピンの間のバシー海峡がそれである。多くの日本人を乗せた輸送船、駆逐艦、海防艦がアメリカの潜水艦や航空機に撃沈され、この海峡で命を落とした日本人の数は十万人以上と言

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(書評)ひとりの記憶・橋口譲二

私の伯父は、太平洋戦争中、インパール作戦に参加し、マラリア熱に冒され行軍から離脱、帰らぬ人となった。福岡県三潴の田園地帯に建つ墓碑の前で、生前父はこの話をする度に、もしや現地の人に助けられ、幕落で行動力のあった伯父のことだけに、遠くミャンマーで生きているのではないかと話