(書評)ルカの方舟・伊予原新

【書評:文責・桜井彰】

南米のパタゴニアで隕石が発見され、帝都大学で鑑定が行なわれる。鑑定を指揮した笠見教授は、隕石は火星から飛来したもので、生命の痕跡があるとの論文を発表、一躍世間の注目を浴びる。
ところが、笠見教授は実験の途中に液体窒素を吸って死亡し、研究室には「ルカの末裔」と名乗る人物から「研究には不正があり、論文は捏造された」と解釈出来る内容の怪文書が届く。

大学は天才学者と評価の高い百地教授に事件の解明を指示し、百地教授はジャーナリストの小日向と科学警察研究所の佐相に協力を依頼する。

「隕石は本当に火星から飛来したのか」
「隕石には地球外生命体が存在した痕跡があったのか」
「論文は捏造されたのか」
難しい課題を飄々とした百地が解明してゆく。

文中にはポスドクの悲哀や研究室の内情も描かれていて、なかなか面白かったです。

著者は「これが私の原点です」と言っているようですが、本当に理系満載のミステリーで、著者の渾身作ですね。物理が苦手の人も肩に力を入れずに読めると思います。

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