
道をたずねる (小学館文庫 ひ 19-1)
【書評:文責・桜井彰】
別府で育った3人の中学生は学校の裏山にあるクスノキに登り「お互いピンチに陥ったら助ける」「友の頼みは断らない」「隠し事はしない」の3つの誓いをたて各々の道を進む。
体が大きくて柔道の猛者一平は父の会社を継ぎ地図会社の経営者に、勉強嫌いの陸上選手俊介は一平の父の会社に入り住宅街の調査員に、秀才の湯太郎は一平の父の支援を受け弁護士になる。
物語は俊介が高校を卒業後一平の父の会社で見習いをするところから一人前になり一平の片腕になるまでを、会社の成長とともに描いています。
地図「ゼンリン」をモデルに当事者から丁寧にヒアリングしたようで、物語風にした「ゼンリン」の社史のような趣きもあります。「ゼンリン」はカーナビを作った会社で、戦後別府の小さな会社が成長していく過程は興味深いものがありました。
私も個人のお客様を担当していた時は「ゼンリン」の地図を使っていたのでとても懐かしいです😂
親子2代にわたりクスノキに名前を刻み、助け合いながら成長した3人は「アスナロ」でなく「クスノキ」だったんですね☺