
【書評:文責・桜井彰】
2007年に刊行された第1回日経小説大賞の受賞作。
主人公はK大を卒業、電気会社の重電部門に所属しロンドン勤務が3年目になる駐在員の高岡と、同じくK大を卒業し演劇の勉強をする為に王立演劇学校に入りロンドン在住23年になる40代半ばの演出家の聡美。
二人は高岡の住む高級住宅街ハムステッドで出会い、K大の同窓会で再会、高岡は聡美の演出する芝居を観にいく。
バツイチ同士の二人は毎週食事を重ねながら、ゆっくりと距離を縮めていく。
ソーホーで食事をし、ドックランドにある聡美のマンションのテニスコートでテニスをし、8月のバンクホリデーではウェールズの海を見に行き、年末にはナポリ・ポンペイに旅行し、お互いの絆を確認する。
ロンドンの地名、ゴルフ場(ウェントワース⛳️)、ウェールズ、ナポリ・ポンペイ等私自身のロンドン勤務時代の想い出が蘇ってきて、とても懐かしく印象に残る作品でした。
ナポリ・ポンペイは昨年2月約30年振りに、どうして行きたかったシチリア訪問時に行きました。
また、駐在員の気持ちや異国に腰を落ち着けた逞しくも複雑な女性の気持ちも丁寧に描かれています。
辻原登さんが「通俗の域を抜けて典雅の域に達している」と評されていますが、正しくその通りだと思います。
大人の恋愛小説としては最高の傑作ですね☺