2023.11.29 (書評)私がケータイを持たない理由・斎藤貴男 電車内の光景を見よ。誰もが掌中の機器を見つめ、指先で画面に触れ、その呆けたような表情を隠そうともしない。ケータイは利便性と引き換えに多くの代償を求める。対面している相手を無視。交通事故を誘発。監視社会の助長。またいじめの道具でもある。そんな指摘を並べる著者だが、ケータイを憎んでいるのではない。ケータイによって露呈する人間の醜さ、その本性を見て、「こんな道具を使う資格があるのか」と憤っているのだ。未熟な現代人にもできそうな、「休ケータイ日」を試してみたくなる。 文:新山博之 (週間新潮 第2867号に掲載) Tweet Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it (書評)ひみつの王国 評伝 石井桃子・尾崎真理子 前の記事 (書評)空より高く・重松清 次の記事